テレビなど不振深刻 デジタル家電の国内出荷、過去最低水準に

デジタル家電の不振が続いている。
薄型テレビに関しては国内出荷額が前年比56.7%減、と惨憺たる数字だ。
地デジ放送開始による先食いがあったとしてもひどい結果だ。

日本のメーカー各社には、もっと存在感をしめして頑張って欲しい。

つい10年や20年前は、携帯型音楽プレーヤーはSONYのウォークマン、パソコンはNECのPC98シリーズであった。
他に商品の選択はないのか? と思えるほどの寡占状態で会った様に記憶している。
それが今では、携帯型音楽プレーヤーといえばApple社、パソコンも海外メーカーが幅を利かせている。
出荷額が減っているだけでなく、マーケットの中でも存在感が薄れている。

デジタル家電といういい方はまだされていなかった頃、家電はいろいろな新しい価値を提供してくれていた。
よくいわれることだが「こんなものがあったらいいな」という市場のニーズではなく、商品を見たこちらが「なるほど」思える商品を提供していた。
なかには短命に終わったものもあったが、それはそれで消費者としては「あんな商品あったよね」的面白さを享受できた。

ところが最近はマーケティング至上主義なのか、消費者サイドから見ても「社内企画会議の様子が透けて見える」ような商品が多い。
利益率や結果が出るまでの期間等に余裕がないからであろう。

同じことは分譲マンション業界にもいえる。

「タイル張り」「フローリング標準仕様」(バブル以前は「吹付タイル」「カーペット」が大多数であった)
「ホテルライクなエントランス」(エントランスの吹き抜け。大規模マンションではごく普通二採用されている)
「共用施設の充実」(チャイルドルーム、ゲストルーム等々)
「逆梁ハイサッシュ」(バルコニーの梁が床面にあり採光/眺望がとりやすい)

好き嫌いはあろうが、どれもそれなりに定着し、いまや分譲マンションでは一般的な仕様となっている。

ところがここ最近は、目新しいものが少ない。
見かけるのは「頭が良くなる間取り」といったぼんやりとしたものや、「魔法瓶浴槽」などの生活全体へのインパクトが少ないスマッシュヒットが多い。

分譲マンション業界はデジタル家電とは違い、海外勢の攻勢にあう事は考えにくい。
新築マンション市場も、都心型タワーなどは活況を呈している。
しかしその環境に甘んじず、更に新しい価値を消費者に提供する商品(マンション)開発を期待したい。
ここ数十年で、日本人の家族構成や年齢ピラミッドは大きく変わった。
今後数十年でも、また大きく変わる。
端的にいえば「両親+子供二人」のかつては「平均的世帯」であった家族は減り、年齢層も高くなる。
そのような国内事情を鑑みた上で新築マンションや中古ストックの活用をすすめ、必要とされる住宅を供給するようにすれば、人口減の中でも住宅のニーズは無くならない。

分譲マンション業界は家電業界ほどに不振な状況ではないが、惨憺たる状況となる前の奮起を期待したい。