2013年03月

弁当の路上販売:東京都が実態調査へ…規制強化も


ニュースは東京の話であるが、弁当の路上販売は大阪でもなじみのある光景だ。

ビジネス街を歩くと昼前後の数時間、路上で弁当を売っている姿をよく目にする。

淀屋橋~本町界隈では、ワンコイン弁当やそれ以下の値段の弁当もみかける。

何度か試したことがあるが、ボリューム・味ともに及第点といえるレベルだ。

おなかも懐も満足、ということで重宝している人も多いであろう。


細かいことはよくわからないが、こういった店は「行商」扱いということらしく、保健所の指導基準や道路使用許可の基準が現状とあっておらず、知らず知らずのうちに「違法状態」である店は多いのであろう。

だが、「違法状態である」という理由で規制強化されたり、路上販売を排除するような動きがでるのは少しばかり違和感がある。

もちろんルールを遵守することは大切な事だ。

しかしそれは、ルールを守らないことで誰かが不利益を被ったり秩序が乱されたりすることの回避が目的。

ニュース記事にもあるが、弁当の路上販売で食中毒が多発したり、通行のトラブルの発生というのも聞かない。

そのような事もあるのだろうが「安い弁当を買える」という便益の方がはるかに上回っているのではないか。


道路の占有使用や、保健所の指導についてはほかの場面で気になったことがある。


例えばマンションや地域のお祭りで食べ物を提供する際の、保健所の「きめ細かい」指導。

どうも腑に落ちない。

例えば餅つき。

行政によって指導内容は異なるが、屋外でついてはいけない、その場で食べるのはNGで持ち帰りはOK等、細かく指導される。

今まで長い間続いていた行事であっても、保健所からの指導でおおきく中身を変えねばならないことがある。

とはいえ、指導を守ったからといって保健所が責任をとるわけではない。


またとある場所で毎年行われているイベントの話。

公園として扱われていたイベント敷地が、ある時道路として管理されるようになった。

そのために毎年そこで行われていたイベントは屋台等の出店ができず大幅に規模を縮小することになった。

念のため付け加えるとその場所は、公園から道路に変わったといっても名目上の用途が変わっただけで実態は何も変わっていなかった。


ルールを定める事、ルールを守る事、ルールを守らせるための仕組みがある事。

これらはとても大事である。

だが、恒常的にルールが守られていない状態であるものについては、多くの人がその方が良い、合理的であると考えていることも多い。

監督省庁には、「ルールが守られていないから」といって指導を強化するだけでなく、同時に、なぜそのような状態になっているのかまで考えそして対策を考えてほしい。

そうでなくては単なる思考停止である。

ユニクロ、もう「ブラック企業」とは言わせない!

記事に取り上げられたユニクロ。
ワタミとならんで、「ブラック企業」として取り上げられる機会が多い企業だ。

ブラック企業とはウィキペディアでは下記のように定義されている。
労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いたり、関係諸法に抵触する可能性がある営業行為や従業員の健康面を無視した極端な長時間労働(サービス残業)を従業員に強いたりする
この説明の中でポイントは「強いたりする」の部分である。
法令違反はいけないが、それ以上にダメなのが勤務状態の実情を入社前に開示していない事だ。
実情が開示できていないから、仕事に対する自身のスタンスと会社のそれとが異なり、結果として希望しないことを「強いられる」ことになる。
よって、「ブラック企業元社員の告白」的な投稿/記事には「入社する前のイメージと現実は違っていた」といったトーンが多い。

一方、休日や早朝/夜間も時間を惜しんで業務をこなしビジネスや研究/勉強に邁進するビジネスマンは数多くいる。
それが、誰かにやらされているものではなく自らの意志で行っているのであれば、決して責められるべきではない。
そのような従業員が集まって、会社全体が一つの目標に突き進んでいるベンチャー企業も数多くある。

法令という「ルール」よりも、仲間内の「おきて」が重視されているということだ。

この場合、仲間がすべて「おきて」を充分に理解し賛同している事と「おきて」自身が仲間以外に決して迷惑をかけないことが最低限の条件となる。もちろん「誰にも迷惑をかけていない」といって非合法な事をしていい、と主張しているわけではない(例えば「大麻の栽培」)、念のため。

「世の中のルール」よりも厳しい「仲間のおきて」をつくり「一つの目標」を達成しようとしている例は不動産関連にもある。

建築協定がそうである。

建築協定とは以下の様なものである(国土交通省のサイトより抜粋)。
建築協定制度は、住宅地としての環境や商店街としての利便を高度に維持増進することなどを目的として、土地所有者等同士が建築物の基準(建築基準法による 最低基準を超えた高度な基準)に関する一種の契約を締結するときに、公的主体(特定行政庁)がこれを認可することにより、契約に通常の契約には発生しない 第三者効*を付与して、その安定性・永続性を保証し、住民発意による良好な環境のまちづくりを促進しようとする制度です。
* 契約当事者以外の第三者が当該契約の目的となっている土地等を取得したときに、当該第三者をも拘束する効力。
ようするに「法律ではOKな建築物も、仲間内のルールで建てられない」という事を認める制度だ。
建築協定にもいろいろあり、なかには大変厳しいものある。例えば芦屋市六麓荘町の建築協定は、大変厳しい事で有名だ。

敷地の面積の制限(400平方メートル以上!)から始まり、階高、色、隣地との距離、車庫の出入口、門扉の開き方まで、事細やかに制限されている。
憲法で保証されている私有財産の保障の侵害であり所有者が不利益を被るものだ、という人がいてもおかしくない。
むしろ一般的(庶民的?)な感覚からするとそのように考える人の方が多いであろう。
しかし六麓荘町に住む人はこの建築協定を前向きに受け止め、街の誇りと感じている。
これらを守ることで美しい街並が守られ、資産価値の維持/向上に役立つという考えのもと運用している。
(もちろん、建築協定は「私有財産の保障の侵害」ではなく、反対に土地所有者がその環境を安定的に守る為のものである)

もしこの六麓荘町の建築協定が芦屋市全域に広がったなら、反対する人は大勢いるであろう。
いくら芦屋市に裕福な家庭が多いからといってもみんながみんなこの建築協定を守れる道理がない。
ましてや「住んでから初めて知った」なんてことはあってはならないであろう。

建築基準法との法令基準を上回る「建築協定」と、労働法等の法令を違反する「企業内のおきて」を同列に語ることは少し強引かもしれない。
一方は遵法であり、片方は違法であり、ここに大きな差がある。
ただベンチャー企業や中小企業には、自らの意志で休みを惜しんで日夜働いている人が多くいるのは事実だ。
そのような集団が、自らの意志でがむしゃらに働くことをちゃんと認めるために「企業の建築協定」のような取り決めがあってもよいのであろう。


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